教習⑩ 鉋台の下端調整

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木工初心者が、本格的な大工技術を教えてくれる木工倶楽部に入会。教習内容を備忘録として書き綴っています。

鑿(ノミ)や鉋(カンナ)に興味がある方、よかったらご覧ください。

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mokkou 520x300 - 教習⑩ 鉋台の下端調整 鑿・ 鉋・鋸 の使い方を学べる【四街道サンデー木工倶楽部】

前回は教習⑨ 鉋の仕込み でした。今回の教習は 鉋台の下端調整です。

鉋の仕込みとは

新品の鉋は、仕込みをしないと使えません。調整などをして使える状態にする事を、一般的に「仕立て」や「仕込み」と言います。

前回は刃の研磨をしました。今日は、鉋台の調整をします。

なぜ調整をするのか?

鉋台は木製なので、温度や湿度により膨張・収縮します。それにより、凸凹・反り・ねじれ等で、台に狂いが生じます。

それらの狂いをきちんと直さないと、刃が木材の表面にちゃんと当たらないので、上手く削ることが出来ません。そのため鉋台は常に調整が必要になります。

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刃が当たるように、鉋台は常に調整!

何をするのか?

調整で何をするのかというと、鉋台の下端(写真の斜線部分)を削ります。

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下の図は、鉋を横から見た図。 分かりやすいように、誇張した図になっています。

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ⒶとⒷの2点だけが、削る木材に接する部分です。それ以外を、削り取ります。

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なぜ、わざわざ削るの?

削る理由

もし鉋台の下端が全て平面だと、困ったことが起きます。

  • 木材の上を滑らせるときの抵抗が大きくなる
  • 木材表面の微小な凸凹により刃が上下する

木材に接触する部分を少なくして、削るときの抵抗や凸凹との接触を減らすために、下端を削るんですね。

3つの仕立て

では、どのくらい削ればいいのか?ですが、目的に応じて3つの仕立て方があります。

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  • 荒仕工(あらしこ)… 木材を粗く削る
  • 中仕工(ちゅうしこ・なかしこ)… 荒削りから更に滑らかに削る
  • 上仕工(じょうしこ)… 仕上げ削り

中仕工に仕立てる

基本は3つの鉋を持ち、それぞれ 荒仕工・中仕工・上仕工 に仕立て、目的に合わせて鉋を使い分けます。でも今は鉋が1つしか無いので、教習で使う鉋は中仕工に仕立てます。

では、鉋台の下端調整をしていきます。

STEP1 刃を後ろに引く

調整の前に、刃を少し後ろに1mmほど引っ込めます。調整中に定規が刃にあたって、欠けたりしないようにです。

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鉋台の調整は、刃を入れたまま行います。なぜなら、実際に使う時に近い状態にしたいから。

刃を入れると、鉋台は刃に押されて少し膨らみ変形します。その状態にしてから調整しないと、意味がないので必ず刃を入れます。そして、定規に当たらないように少し後ろに引っ込めます。

STEP2 狂いの確認と平面出し

最初は狂いの確認です。鉋台の下端に定規を当てて、台の反りやねじれ、凸凹がないかチェックします。

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なるべく明るい方に向け、定規と下端のすき間から見える光の加減で台の状態を見ます。

今回はサシガネを使いましたが、本当は「下端定規」を使って確認します。下端定規とは平面を確認するための定規です。

サシガネは柔らかくて曲がるので、精度の高い確認が出来ないそうです。でも、持っていないので仕方ありません。とりあえずサシガネで代用します。

さて、定規の当て方は適当ではいけません。ちゃんと見るべき場所と順番があります。

下端定規を当てる場所

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  • A : 基準面の状態を確認
  • B : 長手方向の摩耗を確認
  • C : 台頭と台尻の対角線上に定規を当て、ねじれと偏った磨耗がないか確認
  • D : 台頭から台尻まで移動させ、ねじれと偏った磨耗がないか確認
  • A~Dの順番で定規を当て、反り・ねじれ・凸凹が無いか確認します。特に重要なのはAの部分。ここが基準面になるので、初めにAの平面を確認します。

    基準面の平面出し

    Aの基準面に狂いがあれば、サンドペーパーで平らに修正をします。

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    上の写真の道具は、先輩の自作。厚み10mmのガラス板に、サンドペーパー#180を貼ったものです。なぜガラスなのかというと、ガラスは平面精度が高いから。

    面直し器という商品も販売されていますが、高額です。自作するか…。

    とりあえず、今日は先輩の面直し器を拝借。前後に軽く数回こすり、Aの平面を出します。

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    Aの基準面が平面になりました。

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    BCDの確認もします。

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    STEP3 台直し鉋で削る

    ねじれ・摩耗状態を確認して狂いがなければ、いよいよ下端を削ります。目指すのは中仕工。資料の図はカーブになっていましたが、実際は下図のように削ればいいそうです。

    目指す仕立て

    ⒶとⒷの幅は1.2~1.5cmくらい。削る深さは、いちばん深くても0.2mmです。

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    分かりやすいように、誇張した図になっています。

    削る部分に、鉛筆で薄く印を入れます。

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    そして「台直し鉋」で削ります。この鉋は、その名のとおり鉋台の下端を直すためだけの鉋。

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    普通の鉋と違って刃の角度がほぼ垂直になっています。なぜ垂直になっているかというと、堅い鉋台を削るため。

    鉋台の材は樫(かし)です。樫はとても堅い!なので、台直し鉋は刃をほぼ垂直(90度)に仕込み、ガリッガリッと力を入れて削り取ります。

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    削る方向は、鉋台の繊維方向に対して直角。鉛筆線が消えるまで削ったら、定規を当てて確認します。

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    ⒶⒷは木材に接する部分なので、光が見えてはいけません。ちゃんと接地しているようなのでOKです。台頭の方は光が見えないといけないので、もっと削らないといけませんね。

    削る部分にまた鉛筆線を入れて、それが消えるまで台直し鉋で削ります。実際にやると、下端調整って結構大変で、かなり手間取ります。時間をかけて、ようやく調整完了。

    ⒶⒷの2点接地になりました

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    削ると言っても、深さ0.1~0.2mmなので見た目は平らに見えます。

    下は先生の鉋台。美しい…なんか自分のと違う気がする。

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    (見なかった事にしよっ)

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    全体に椿油を塗って、鉋台の下端調整が完了しました!

    最後に

    今日は鉋の仕込みの最終工程、鉋台の下端調整を学びました。調整に時間がかかり過ぎたのと、仕上がりがあまり良くなかったのが反省点。

    下端調整のやり方はなんとなく理解しました。しかし実際に鉋がけをしてみないと、これで合っているのかよく分かりません。実践あるのみ!

    ちなみに今回使った台直し鉋は、先輩にお借りしたもの。台直し鉋の代用になるものを先生に伺ったところ、ハンドサンダーを見せてくれました。

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    これは簡単な調整をする時に使っているそうですが、あくまで応急処置的に使うもの。

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    やっぱり精度の高い調整には、台直し鉋を使わないといけないみたいです。

    下端定規と面直し器も買わないといけません。

    鉋台の下端調整ってけっこうお金がかかるんですね…。

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    次回は鉋がけです!

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