鉋をかける方向は?木目と順目の関係

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初心者が本格的な大工技術を教えてくれる 木工倶楽部 に入会。学んだ事の復習や自習した事などを書き綴っています。

11回めの教習 で、角材の鉋掛けをしました。その時に教わったのが「基本は末から元に向かって鉋をかける」ということ。理由は、そのほうがきれいに削れるからです。

しかし、なぜきれいに削れるかの説明は無かったので、自分で調べてみました。今回は「鉋をかける方向」について、自習した事を書きつづります。

choro mokkou - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係

鉋掛けの方向について自習!

鉋をかける方向(基本)

鉋をかける方向は、基本的に順目方向です。例えば木表に鉋をかけるときは、末から元に向かって鉋かけます。

kiomote naraime - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係

なぜ木表は末から元なのか?その理由を探るため、まずは「順目と逆目」「木表と木裏」「元と末」を勉強。そして、それらと「鉋をかける方向」の関係について考えます。

知っておくべき木工用語

「順目と逆目」「木表と木裏」「元と末」これらの木工用語と意味を知ることで、鉋をかける方向について理解しやすくなります。

順目と逆目

木材には順目(じゅんめ・ならいめ)と、逆目(さかめ)とよばれる方向があります。鉋は順目方向に引くのが基本。順目はきれいに削れる方向で、逆目は削れにくい方向だからです。

下の図は、逆目方向へ進む刃と順目方向へ進む刃を表したものです。

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逆目は刃が木目に食い込む方向。表面がむしり取られたように荒れてしまうので、きれいに削るのが難しい方向です。

いっぽう順目は木目をなでつけるような方向です。順目方向は木目に食い込まないので、きれいに削ることができます。

ポイント
  • 順目に鉋をかけるのが基本
  • 順目は木目をなでつける方向
  • 逆目は木目に食い込む方向

木表と木裏

板材には、木表(きおもて)木裏(きうら)と呼ばれる表裏があります。

木表は樹皮側の面を指します。そしてその反対面である木裏は木材の中心(樹心)側の面になります。

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板材の表と裏を見分けるいちばん簡単な方法は、木口を見ること。木口とは年輪のカーブが見える部分です。

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木口に見える年輪のカーブが山になっている方が木表で、その反対の面が木裏です。

ポイント
  • 木表… 樹皮側の面・年輪のカーブが山
  • 木裏… 樹心側の面・木表の裏側の面

元と末

木材としてよく利用される針葉樹は、空に向かってまっすぐに伸びるのが特徴。そして先端が先細りな円錐形に成長します。

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樹木が製材され木材になったとき、木の根に近かった方を「元」、空に向かって伸びていた方を「末」とよびます。

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元と末の見分け方の1つは、表面の木目をみること。タケノコのような模様の下側が元。先っぽが末になります。また、年輪の幅や節を見る方法もあります。

参考元と末の見分け方

ポイント
  • 木の根に近い方が元(もと)・タケノコ模様の下側
  • 空に向かって伸びていた方は末(すえ)・タケノコ模様の先っぽ側

なぜ木目がこのようなタケノコ模様になるのでしょうか? 次はそのお話です。

木の成長の仕方

先ほど話したように、針葉樹は先端が先細りな円錐形に成長します。この「円錐形に成長する」というのがポイントです。

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木の幹の成長過程を簡単にあらわしたのが上の図です。成長するにつれて円錐が大きくなっていますね。

伸長成長と肥大成長

木は2種類の成長によって大きくなります。1つは伸長成長で、先端から上方に伸びる成長。

そしてもう1つが肥大成長。木は木部と樹皮の境で細胞分裂が起こり、内側から外へ外へと太っていきます。

2 growth of trees - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係

小さい円錐に少し大きい円錐をかぶせるように、上方と外側へ成長する樹木。成長の証は、年に1本ずつ出来る年輪(上図のグレー線)で見ることができます。

成長と木目の関係

円錐をかぶせるように成長する樹木は、幹のなかで円錐形の年輪をつくります。

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そのため、幹を縦方向に真っ二つに切断すると切断面に円錐形の模様があらわれ、さらにそこから切り出した板材の表面はタケノコ模様になり、木端の木目は斜めになります。

木端(こば)とは、板材において木口(横断面)ではない長手方向の側面を指します。

表面のタケノコ模様と木端にあらわれる斜めの木目、これは樹木が円錐形に成長することに関係しているんですね。

じつは、どの角度で切断するかで木目の模様は違ってくるのですが、今回は一般的によく使われる板目を使って話をすすめています。

参考板目と柾目

木目の入り方で順目が分かる

表面のタケノコ模様や木端の斜めの木目は、木が円錐形に成長することに関係していると分かりました。次は、木目の入り方と鉋をかける方向の関係について見ていきます。

木目と鉋をかける方向の関係

例えば、丸太から板目の材を取り出すとします。木材の元と末の見分け方の1つは、表面のタケノコ模様をみることでした。

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ここまで読んでくれた方は、下の板材の表面は「木表」で、タケノコ模様の先っぽの方が「末」だと分かりますよね。

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そこで次は木端に注目です。側面にあらわれる斜めの木目は、樹木が円錐形に成長することに依るものでした。そして、この木端の図に見覚えがありませんか?そう、最初に出てきた順目と逆目の図です。

逆目は木目に食い込む方向なので、順目方向に鉋がけするのが基本だという話は先にしました。

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そして「木表は末から元へ鉋をかける」のも基本です。なぜなのか、もう答えは分かりますか?

木表は末から元が順目

木端の木目の入り方を見て分かると思いますが、木表の順目は末から元だからです。

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木裏の順目は元から末だということも、木端の木目を見れば分かりますよね。

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板材の表と裏や、元と末は木目で見分けました。そして順目もまた「木目の入り方」で確認できることが分かりました。

芯持ち材は4面が木表

そして冒頭での疑問。「角材は末から元に向かって鉋をかける」そう教わったがなぜなのか?その答えは、正方形の芯持ち材だったからです。

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芯持ち材とは、丸太から中心(樹心)を含んで切り出した材のこと。図で分かるように表面は4面とも木表です。

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木表だから「末から元に鉋をかけなさい」という事だったんですね。この角材は、半分に切る予定です。

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そうなると切断面は木裏になるので、元から末に鉋をかけなくてはいけませんね。

鉋をかける方向について長々と話してきましたが、簡単にまとめます。

まとめ
  • 鉋をかける方向は順目が基本
  • 順目は木目をなでつけるように進む方向、逆目は鉋の刃が食い込む方向
  • 木目の向きは樹木が円錐形に成長することに依る
  • 順目はタケノコ模様の向きや木端の木目の入り方で分かる
  • 木表の順目は末から元・木裏の順目は元から末

基本はあくまで基本

これでおしまいにしたいところですが、「末から元」「元から末」はあくまで基本に過ぎないという話をして終わりとさせていただきます。

例えば木表に鉋をかけるとき、順目がどちらか見るとします。「タケノコ模様の先っぽ、末から元だな」この判断は、基本的には正解です。

kannagake model - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係

しかし実際は基本どおりの方向へ鉋をかけても、きれいに削れない場合があります。なぜなら順目と同じ方向に逆目が混在するからです。

順目と逆目は混在する

下の木材は木表で、末から元に鉋をかけています。削り始めは基本のとおり順目になっています。しかし途中から向きが変わり、逆目になっていますね。

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逆目は木目に刃が食い込む方向なので、きれいに削ることができません。木目の向きが変わる原因の1つは節です。

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木目の方向が変わったから、鉋をかける方向も逆にするなんて事は基本的にはしません。逆目の部分を過ぎるとまた順目にもどります。ではこんな場合はどうすればいいのでしょうか。

順目を見るより調整が大事

鉋をかける方向は順目が基本。しかし順目方向を木目で確認することよりも大事なことがあります。

それは、逆目でもきれいに削れるように鉋を調整すること。ポイントは3つです。

Point
  • 鉋台の調整
  • 切れる刃
  • 刃の出し方

「鉋台・切れる刃・刃の出し方」この3つの調整ができていないと、いくら順目方向にかけてもきれいに削れません。

鉋台の下端が狂っていないか、切れる刃に研いでいるか、そして逆目でもきれいに削るために、裏金と鉋刃の刃先のずらし加減はとても重要です。

裏金は鉋刃より後ろに0.1~0.3mm引きますが、これも実際に木材を削ってそのつど微調整しなくてはいけません。

3つの調整がしっかりできていると、逆目でもきれいに削ることができます。

よかったら、下の記事も合わせて読んでみてください。裏金で逆目をとめる仕組みや、鉋の調整について書いています。

DSC 0210 520x300 - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係 鉋(かんな)について・各部名称から裏金の役割まで IMG 20201018 101614 R 520x300 - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係 教習⑨ 鉋の仕込み・鉋刃と裏金の調整 IMG 20201101 111527 520x300 - 鉋をかける方向は?木目と順目の関係 教習⑩ 鉋台の下端調整

最後に

今回は「鉋をかける方向」について自習しました。僕はど素人なので研ぎに時間はかかるし、調整も毎回のように悩まされていますが、きれいな鉋がけができるよう日々精進したいと思います。