初心者が本格的な大工技術を教えてくれる 木工倶楽部 に入会。学んだ事の復習や自習した事などを書き綴っています。
現在、作業台を製作中 です。今回は教習で学んだ「良い木材の選び方」に加え、自分で調べた事も合わせて書いていきます。
良い木材とは?
作業台を作るための角材は3500円で購入します。決して安くはないので、なるべく良い木材を選びたいところです。しかし、ドコを見ればいいのでしょか?
集成材
良い木材とはどういうものでしょう。 ひとつは「切ったり削ったりなどの加工がしやすい」ことが挙げられます。扱いやすい木材と言えば、集成材がありますね。
集成材は、複数の木材を組み合わせて接着剤で貼り合わせたもの。そのため品質が一定でばらつきがなく、加工もしやすいので「良い木材」と言えます。
無垢材
一方、教習で使うのは無垢材。丸太から必切り出した自然そのままの素材です。無垢材の魅力は木目の美しさや耐久性などです。
無垢材は製材されてからも一本の木だった頃の特徴が残り、それぞれに個性があります。よって、集成材とは違い品質にバラつきが出ます。しかし品質が一定ではないからと言って、悪い木材だということでは決してありません。
無垢材は自然素材だから個性があって当然。その中から、加工がしやすいものを選び取ることが大事です。
では、加工がしやすい木材を選ぶにはどこをみればよいのでしょうか?。それを知るためにまずは、良くない木材がどんなものかを見ていきましょう。
良くない木材
「馬」の制作に使うのは、杉の3.5寸角。約105×105×3000(mm)の角材です。積まれた角材を前に、先生から出題。
Q.この中で、あまり良くない材があります。どれでしょうか?
皆で年輪を見たり触ってみたりしましたが、あまり違いが分かりません。この中から先生が選んだ、ベスト・オブ「良くない角材」がコレ ↓ です
写真では分かりにくいですが、長手方向の直線が少し曲がっています。そして、節が全体に多くあります。では、詳しく見ていきましょう。
良くない木材の特徴
ここで言う「良くない木材」とは、曲がっていたり節が多く加工しにくい、または耐腐朽性が低い事とします。
- 曲がり・反り・ねじれ
- 死に節がある
- 白太が多い
曲がり・反り・ねじれ
木材を扱う上で避けて通れない悩みが、曲がり・反り・ねじれ等の変形です。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?なぜなら木材は自然のものだからです。
自然素材である木材は、空気が乾燥しているときは自身の湿気を吐くため縮み、湿度が高い時は湿気を吸うので膨張します。
その変化が同じ比率で起これば問題ないのですが、同じ木材の中でも場所によって収縮率や膨張率が異なることが、曲がり・反り・ねじれの原因です。
「自然素材である木材は変形してあたりまえ」なのですが、正確な寸法で加工する場合はひどく変形している木材は避ける方がいいです。
死に節と生き節
節(ふし)とは木材が立木だった頃の、枝の跡。節は硬いので、切ったり鉋掛けなどの加工が難しくなります。そして節には種類があります。
- 死に節 … 枯れた枝が幹の中に取り込まれたもの
- 生き節 … 生きた枝が幹の中に取り込まれたもの
死に節は、枯れて組織が死んでいるので、周囲の組織と繋がっていません。なのでボロっと抜け落ちて、穴になる可能性があります。
生き節は、生きている間に幹の中に取り込まれたもの。周囲の組織と繋がっているのでフラットに見えますね。
赤身(芯材)と白太(辺材)
そして、まだ気になる所があります。白っぽい部分「白太」です。
下図は丸太の切断面です。2色に分かれてますね。木の種類によってまちまちですが、杉は特に色の差がはっきりしています。
中心部の濃い色の部分が、赤身(芯材)。外周部の白っぽい部分を、白太(辺材)といいます。
木は、芯から外側に年輪を重ねて肥大成長するので、芯の中心に近い方が年寄り。外側にいくほど若いという事になります。
何か、問題ある?
実は白太は、木を腐らせる腐朽菌(ふきゅうきん)や虫の食害を受けやすいという短所があります。
赤身の方が腐りにくく、虫もつきにくいそう。なぜなら赤身部分の細胞は活動を停止していて、水も養分も通さないから。
水分の通り道を閉鎖しているので、一旦乾燥すると吸湿しにくいので腐りにくい。更に赤身には虫が嫌う成分が多く含まれていて、虫害を受けにくいんです。
白太は立木だった頃に、水や栄養分の通り道だった部分。木材になったあとも湿度をよく吸います。
更に柔細胞には養分が蓄えられているので、湿気を好む腐朽菌や虫にとっては、まさにパラダイス。
また、白太は腐りやすいだけでなく反り・ねじれ等の狂いが生じやすい。というわけで、赤身だけの木材の方が加工しやすそうですね。
じゃあ、白太に良いところは何もないのか?! というと、そうでもないんです。
- 白太は一本の丸太から取れる量が少ないので貴重な木材と言える
- 赤身に比べると曲げに対する強度が高い
- 赤身と白太が混ざったものは源平(げんぺい)と呼ばれ、個性的な色のコンストラストが演出できる。
白太にも良いところはたくさん。しかし、個性的なデザインより耐腐朽性の高さを重視するなら、やっぱり赤身が多い方がいいかもしれません。
まとめ
切ったり削ったりなどの加工がしやすい木材とは? 木材を選ぶ時に見るべきポイントを簡単にまとめます。
- 曲がり・反り・ねじれが無いか
- 節が多くないか(死に節に注意)
- 腐朽菌・虫の食害を避けるなら、赤身(芯材)を選ぶ
反りが無ければ正確な寸法を出せるし、節も少ない方が加工がしやすくなります。しかし冒頭で話したように、曲がりや節は無垢材の個性で魅力でもあります。
自分にとって良い木材とは何か? 作るものに合った木材を選ぶことも大事ですね。
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