初心者が本格的な大工技術を教えてくれる 木工倶楽部 に入会。学んだ事の復習や自習した事などを書き綴っています。
前回は ノミのカツラ直し をしました。次は研ぎ方を学ぶ予定。その前に、ノミについてもう少し自習しておこうと思います。
鑿(のみ)について
ノミは木材に穴をあけたり溝を掘ったりするのに用いる工具で、柄頭を金づちで叩く、または手で押したりして使う道具です。
ノミの種類
ノミの種類は、追入れ鑿・向持ち鑿・薄鑿・しのぎ鑿・つば鑿などたくさんの種類がありますが、大きく分けると、2つに分類できます。
- 突きノミ … 手で押して部材を削る
- 叩きノミ … 金づちなどで叩いて使う
叩きノミの柄の先端には、金づちで叩いた時に木の柄が割れてしまうのを防止するために、カツラ(金属の輪)がついています。
そして叩きノミの中に「厚ノミ 」「追入れノミ 」「向待ちノミ」 などの種類があり、教習で使うのは厚ノミです。
厚ノミは追入れノミに比べ刃に厚みがあるので、深く大きなホゾ穴を掘るのに適しています。
厚ノミのなかでも刃幅が1寸2分以上のノミ(上写真)は広鑿ともよびます。
ノミの各部名称(叩きノミ)
ノミの各部名称は教習で配られた資料を元にしています。図にあるように、関東と関西では名称が少し異なります。
ノミのサイズ
ノミのサイズは穂幅で表され、「ミリ」や日本古来の呼び名「寸」「分」で表記されます。
1寸は30.303mm 1分は3.0303mmです。よって、8分は穂幅が約24mmのノミです。
教習で使うのは、5分・8分・16分(1寸6分) の3本です。教習では「尺」「寸」「分」を使うのでこの寸法に早く慣れないといけません。
地金と鋼の2層構造
ノミの穂は、やわらかい地金(じがね)に硬い鋼(はがね)を鍛接して作られます。
黒い部分が地金で、刃先の光ってみえる部分が鋼です。なぜこのような2層構造にするのでしょうか。理由は、「粘り強さ」と「硬さ」を両立させるため。
粘り・硬さはノミの切れ味や欠け、研ぎやすさに関係してきます。
極軟鋼×高炭素鋼
地金に使用するのは極軟鋼。それに重ね合わせる鋼は、おもに高炭素鋼を使います。
※ ノミに使う鋼は日立金属の刃物鋼「白紙」が使われることが多いようです。
極軟鋼と高炭素鋼は、どちらも鉄(Fe)と炭素(C)からできていて、その違いは含まれる炭素の量です。
極軟鋼に含まれる炭素の量は0.12%以下。いっぽう高炭素鋼は0.6以上を含有します。炭素量が多いほど硬くなり、鋭い切れ味がでます。
切れ味が良くなるなら炭素の量が多い高炭素鋼だけで穂を作ればいいのに、と思いませんか? それがダメなんです。炭素量が多くなるほど硬くはなりますが、粘り強さ・しなやかさ(靭性)は低下します。
つまり、硬すぎると衝撃を受けたときに刃が欠けやすくなります。また硬いと刃を研ぎにくいというデメリットも。それを補うのが、地金に使う極軟鋼の役割です。
ノミの穂が地金と鋼の2層構造になっている理由は「粘りのある極軟鋼で欠けにくさと研ぎやすさを、硬い鋼で鋭い切れ味を出すため」なんですね。
最後に
今回はノミについて少しだけ自習しました。何も分からず教習場で指定されたノミを購入したので、それが「叩きノミ」だということも知りませんでした。
ノミってたくさんの種類があるんですね。必要に応じて揃えていきたいと思います。とりあえず今は、5分・8分・16分で課題に取り込みたいと思います。
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