初心者が本格的な大工技術を教えてくれる 木工倶楽部 に入会。学んだ事の復習や自習した事などを書き綴っています。
今回は教習で学んだ木工用語に加え、自分で調べた「木材の性質」も合わせて書きます。
木目とは?
木目とは、木を切ったときの断面に見える年輪などの模様のことです。
年輪は年に1本刻まれます。木の成長の証でもある年輪が作りだす木目模様は本当に美しいですね。
木目の種類
模様の種類はざっくり3つに大別できます。
- 板目(いため)… タケノコのような模様
- 柾目(まさめ)… 直線的なタテジマ模様
- 杢目(もくめ)… 不規則で独特な模様
板目・柾目という分類に当てはまらない複雑な模様を、杢目といいます。その独特な模様に希少価値があるとして、珍重されるそうです。
板目と柾目の違い
下図の板材はどちらも同じ杉の木。でも木目の模様がぜんぜん違いますね。なぜなのでしょう?
実は丸太から切り出すとき「年輪に対し、どのように切るか」で、違いが出ます。
板目は年輪に対し平行、柾目はほぼ直角に切ります。
- 板目 … 年輪に沿うように平行に切る
板目は丸太の中心からずらして、年輪に対して平行に切るのがポイント。中心を通して平行に切ると、板目ではなく柾目になります。
- 柾目 … 年輪に対しほぼ直角に近い角度で切る
柾目は丸太の中心に向かって、年輪に対して直角に切るのがポイント。中心から少しずれると、板目と柾目の中間的な部位の追柾目(おいまさめ)になります。
板目と柾目では木目の模様が変わるだけでなく、性質も違ってきます。
- 板目 … タケノコ模様
一本の丸太から効率よく取れるので、柾目よりも安価。反りやすいのがデメリット。 - 柾目 … たてじま模様
丸太の中心に向かう方向でしか取れないので、量が少なく高価。反りや収縮などの狂いが少ないのがメリット。
木表と木裏
板目材には表と裏があり、おもて側を「木表」、うら側を「木裏」と呼びます。
木表と木裏の見分け方
表裏を見分けるいちばん簡単な方法は木口を見ること。木口とは長さ方向の両端の切断面です。
木口に見える年輪のカーブが山になっている方が木表です。山になっている側の表面は木の樹皮側(円の外側)に近い方の面。だから木表と言います。
- 木表(きおもて)… 樹皮側の面。年輪のカーブが山になっている方。節が少なく、木目がきれい。
- 木裏(きうら)… 樹心側の面。木裏は木表よりも木目が悪く、ささくれやすい。
木表は凹む
木表側は乾燥し水分が抜けていくにつれ縮み、凹状に反っていくそうです。
なぜ反るのか?
教習では木表がなぜ反るのか?の詳しい話がありませんでした。そこで、調べたところ異なる2つの説明を見つけました。
- 含水率(がんすいりつ)の違い
- 接線方向と放射方向の収縮率の違い
❶は「木表は若くて水分が多い。よって乾燥すると大きく縮む。水分が少ない木裏との収縮率の違いから、反りが生じる」という説明。
しかし❶は間違いだとするのが❷です。こちらは「木材は方向によって収縮率が違うから反る」のだという説明。
接線方向と放射方向
木材の方向を表現する場合に、接線方向と放射方向という呼び方があります。
- 接線方向 … 年輪に沿う方向(円周方向)
- 放射方向 … 年輪の中心から外へ放射状にのびる方向
木材はその方向によって、性質が異なります。そのうちの一つが収縮の違い。
接線方向の収縮率と放射方向の収縮率の比率はおよそ 2:1
板目の板で収縮が起きた場合、放射方向(木裏側)が1%収縮すると、接線方向(木表側)はその2倍の2%も収縮します。木裏よりも木表側が2倍も縮むので、凹状に反ってしまうというわけです。
❶の含水率の違い説ではなく、❷の接線方向と放射方向の収縮率の違いで反るという方がなんとなく納得ができました。
では、なぜ接線方向と放射方向の収縮率が違うのか?というと、木材細胞の接線方向の壁が放射方向の壁よりも収縮しやすい構造だからだそうです。
そちらについて詳しく書かれている本を紹介します。林知行 著『プロでも意外に知らない〈木の知識〉』です。
木材の知識ゼロの僕には難しすぎる内容がてんこ盛りですが、とても勉強になる本なのでぜひ読んでみて下さい。
木表と木裏の使い分け
板目材には、木表と木裏があること事を学びました。ではそれをどのように活かせばよいのでしょうか。
表を上?裏を上?
これから教習で作るのが下の写真のような砥石をのせる台です。ここで、先生から出題。
Q.砥石台は「木表」と「木裏」どちらを上にして作るべきでしょうか?
A.正解は「木裏を上」でした。
なぜなら、木裏を下にしてしまうと台の底がU状になってしまい、安定しないからです。
例えばフローリングを貼るときは? 答えは「木表を上」。木裏よりも木目が美しく剥がれにくいので、きれいに仕上がります。
間違って木裏を上に貼ってしまったら、ささくれが足にささってしまう危険な床になってしまいますね。
逆に、ウッドデッキは「木裏を上」が正解。理由は木裏を上にすると水はけが良くなるからです。逆に木表を上にするとカーブの凹んだ部分に雨水がたまり腐りやすくなります。
元と末
製材された木材の方向をあらわす呼び方に「元」と「末」があります。
木の根に近い部分を元、空に向かって伸びている方が末。それぞれの切り口を元口・末口と呼びます。
元と末の見分け方
元と末の見分け方の1つは、表面の木目をみること。タケノコのような模様の下側が元。先っぽが末になります。
また、木口の年輪の幅が広く赤身と呼ばれる濃い色の部分が多い方が元口、幅が狭く赤身が少ないほうが末口です。
他にも、節の芯がどちらに寄っているか を見て確認する方法もあります。
節は枝の跡なので、もちろん幹と同じように年輪があります。その年輪の芯を見ます。枝は上へ上へと伸びるので、芯は末の方へ寄ります。よって、芯が上へずれている方が末だと分かります。
芯と節の輪郭までの長さを見ると、末の方が幅が狭く元の方が広くなっているので、幅を見て確認すると簡単ですね。
- 年輪の幅が広く赤身が多い方が元口
- タケノコのような模様の上側が末、下が元
- 節の芯が上へずれている方が末
元と末の使い分け
なぜ元と末を見分ける必要があるのかというと、使い分けをしないといけないからです。
例えば住宅の柱に使う場合、「元口」を下にして山で生えていた向きと同じ状態で使ったほうが長持ちして強いそうです。
- 木表を鉋掛けする時は末から元へ。木裏は元から末に鉋を引くと、毛羽立ちが無く仕上がる。
- 木材を凹凸に加工して接合する継手(つぎて)の場合は、凹は元を、凸は末を使う。
- 薪割りは、元口を上にして割ると割りやすい。
その他にも、様々なシーンで使い分けされています。木表と木裏と同じく、元と末を見分ける事も大事なんですね。
最後に
今回は、板目と柾目・木表と木裏・元と末などの木工用語と、それらの性質の違いなどを少しだけ自習しました。これからの教習で役立てればと思います。
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