木工初心者が、本格的な大工技術を教えてくれる木工倶楽部に入会。教習内容を備忘録として書き綴っています。
鑿(ノミ)や鉋(カンナ)に興味がある方、よろしかったら参考にして下さい。
四街道 サンデー木工倶楽部とは

2020年11月1日・10回目の教習
教習⑩ その1 からの続き。
鉋の仕込みが終わりました。次は、鉋を使った課題に向けての準備です。
作業台の制作に向けて
木工倶楽部に入って初めての課題は、砥石台でした。そして、次なる課題は馬!

もしや、これは… 砥石台を作る時にお世話になった台ですか? 名前も知らずに使ってましたが、こういう作業台を通称で「馬」と呼ぶそうです。

何を学ぶのか
今回の課題は3mの長い角材から、作業台「馬」を2つ作ることです。
- 墨打ち … 墨つぼを使った長い直線の引き方
- 縦割り … 木材の繊維方向に沿って切る縦挽きの練習
- 渡り顎…(わたりあご)木材を直交させてはめ込む仕口
課題が作業台だと知らされた時は一瞬、地味やな… と思ってしまいました。でも、制作を通して学べる事は多そう。
渡り顎とか仕口とか、聞いたこともない名称も出てきました。何をするのか楽しみです。
木材の選び方
馬の材料は杉の3.5寸角。105×105×3000(mm)の角材です。 ここで、先生から出題。

Q.この中で、良くない材があります。どれでしょうか?
皆で年輪を見たり触ってみたりしましたが、あまり違いが無い様に思います。で、8本の角材から先生が選んだ、ベスト・オブ「良くない材」がコレ ↓ です。

写真では分かりにくいですが、長手方向の直線が少し曲がっています。そして、節も多い。
死に節と生き節
節(ふし)とは木材が立木だった頃の、枝の跡。節は硬いので、切ったり鉋掛けなどの加工が難しくなります。そして節には種類があります。

- 死に節 … 枯れた枝が幹の中に取り込まれたもの
- 生き節 … 生きた枝が幹の中に取り込まれたもの
死に節は、枯れて組織が死んでいるので、周囲の組織と繋がっていません。なのでボロっと抜け落ちて、穴になる可能性があります。
生き節は、生きている間に幹の中に取り込まれたもの。周囲の組織と繋がっているのでフラットに見えますね。
赤身(芯材)と白太(辺材)
そして、まだ気になる所があります。白っぽい部分「白太」です。

下図は丸太の切断面です。2色に分かれてますね。木の種類によってまちまちですが、杉は特に色の差がはっきりしています。

中心部の濃い色の部分が、赤身(芯材)。外周部の白っぽい部分を、白太(辺材)といいます。
木は、芯から外側に年輪を重ねて肥大成長するので、芯の中心に近い方が年寄り。外側にいくほど若いという事になります。
何か、問題ある?
実は白太は、木を腐らせる腐朽菌(ふきゅうきん)や虫の食害を受けやすいという短所があります。
赤身の方が腐りにくく、虫もつきにくいそう。なぜなら赤身部分の細胞は活動を停止していて、水も養分も通さないから。
水分の通り道を閉鎖しているので、一旦乾燥すると吸湿しにくいので腐りにくい。更に赤身には虫が嫌う成分が多く含まれていて、虫害を受けにくいんです。
白太は立木だった頃に、水や栄養分の通り道だった部分。木材になったあとも湿度をよく吸います。
更に柔細胞には養分が蓄えられているので、湿気を好む腐朽菌や虫にとっては、まさにパラダイス。

また、白太は腐りやすいだけでなく反り・ねじれ等の狂いが生じやすい。というわけで、赤身だけの木材の方が加工しやすそうですね。
じゃあ、白太に良いところは何もないのか?! というと、そうでもないんです。
- 白太は一本の丸太から取れる量が少ないので貴重な木材と言える
- 赤身に比べると曲げに対する強度が高い
- 赤身と白太が混ざったものは源平(げんぺい)と呼ばれ、個性的な色のコンストラストが演出できる。
白太にも良いところはたくさん。でも、作業台に個性的なデザインはいらないので、やっぱり赤身が多いほうが良いですね。
良い木材の選び方
良くない材を学びました。それを踏まえて、良い木材選びのポイントです。
- 曲がり・反り・ねじれが無いか
- 節が多くないか(死に節に注意)
- 腐朽菌・虫の食害を避けるなら、赤身(芯材)を選ぶ
作業台(馬)の制作
さて、馬を作るための角材は、3500円で購入しないといけません。安くはないです。しかし、8本のうち数本は加工しずらそうな角材。公平を期するために、あみだくじで角材が配られました。
結果、僕は比較的きれいな角材を引き当てました♪ そして先生が選んだ、ベスト・オブ「良くない材」は、めでたくSさんの元へ。Sさん頑張って下さい!
角材が決まったところで、いよいよ加工です。
元と末の見分け方
まずは角材の左右の木口を見て、どちらが元口か末口かを調べます。鉋掛けなどの木材加工において、元と末の確認は重要なことです。

元と末については、教習③ 木材の基礎知識 で少し勉強しました。
木の根に近い部分を「元」。空に向かって伸びている方が「末」。それぞれの切り口を「元口」「末口」といいます。

年輪の幅が広くて赤身が多い方が、元口だと学びましたが… 右の年輪の幅を確認して、次に左を見に行くと、もう右の年輪がどんなのだったか忘れています。
そこで、木口の年輪以外で見分ける方法を教えてもらいました。それは、節の芯がどちらに寄っているか を見ること。
節は枝の跡なので、もちろん幹と同じように年輪があります。まずは年輪の芯を見ます。

枝は上へ上へと伸びるので、芯は末の方へ寄ります。なので、芯が上へずれている方が末だと分かります。
芯と節の輪郭までの長さを見ると、末の方が幅が狭い。元の方が広くなっているので、幅を見て確認すると簡単ですね。

確認できたら、木口に元と書き込みます。「 の印は、基準面の印。木工加工は、基準面をもとに線を引いたり鉋掛けをするので、大事な印になります。
直角に切る
角材は元から使います。まず、角材の端を正確な直角に切り落とします。

木材が動かないように、足でしっかりと固定して切ります。

端を直角に切り落としたら、指定の寸法に墨線を引き、同じようにノコで切ります。

少し、ガタガタになってしまいました。直径10.5cmもあるので、真っ直ぐに切るのは、かなり難しいです。2回もやり直しました。

長い角材から3尺4寸5分(104.5cm)を切り出したところで、今日は終わりです。
今日の感想
今日の教習は、鉋台の下端調整から始まりました。やり方はなんとなく理解しましたが、調整に時間がかかり過ぎたのと、仕上がりがあまり良くなかったのが反省点。
良い木材選びのポイントも学びました。反り・曲がり・死に節は避ける。湿気の多い場所に使うなら、腐りやすい白太より耐腐朽性の高い赤身を選ぶ。今後、木材を買う時に参考にします。
そして新たな課題、作業台「馬」の制作がスタートし。2ヶ所をノコで切りましたが、とにかく直径が太いので切るのが大変です。余計な力が入ってるせいでしょう。
馬の制作を通して、ノコの使い方など今まで習った事の復習もしたいと思います。
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