木工初心者が、本格的な大工技術を教えてくれる木工倶楽部に入会。教習内容を備忘録として書き綴っています。
鑿(ノミ)や鉋(カンナ)に興味がある方、よかったらご覧ください。
四街道 サンデー木工倶楽部とは
前回は 教習⑬ 作業台「馬」の制作 (中編) でした。今日は馬を完成させます。
馬の構造
馬は「台」と、それを支える2本の「脚」で成り立っています。
シンプルな作りですが、見えない部分には「刻み」とよばれる加工をしているんです。
今日は、台となる上木と脚になる下木それぞれに刻み加工を施し、互いを組んで馬を完成させます。
刻み方
今回は細かい加工になるので、ノミはおもに5分と8分を使います。
鋸は精密な切断が得意な、ゼットソー8寸目を使用しています。
脚部の刻み
脚部の刻み手順を図にすると、以下のようになります。
a幅は現物合わせ(後述あり)です。はじめに深さ5分(約15mm)を欠き取ります。更に両サイドの端を幅3分(約9mm)深さ3分(約9mm)欠き取ります。
では、実際に刻み加工をしていきましょう。
はじめにノコで切り込みを入れます。これは後からノミで欠き取りやすくするためです。
a幅は、はめ合う台の寸法に合わせて墨付けをしています。これを「現物合わせ」といいます。
この墨線を残してノコを入れるのがポイント。
a幅を削りすぎると、台のはまり具合がゆるくなるからです。
玄能でノミを叩き入れ、ノコで切り込みを入れた部分を欠き取ります。
平らに整え、端から3分の位置に墨線を引きます。
同じようにノミで欠き取ります。削り残りがないよう、全体をていねいに削って。
凸の角を薄く面取りします。はめ込むとき、角が欠けないようにするためです。
同じようにもう1つ作り、これで「脚」の刻みができました。
次は「台」を刻みます。
台部の刻み
台部の刻み手順を図にすると、以下のようになります。
台の刻みも脚とほぼ同じ。はじめにノコで切り込みを入れます。
深さ5分(約15mm)を欠き取り、平らに整え、両サイドの端から3分の位置に墨線を引きます。
墨残しで、深さ3分を欠き取ります。
欠き取った部分を整えます。
片側の刻みが終わりました。
もう片方も同じように作り「台」の刻みは終わり。ではいよいよ、脚に台をはめ込みます。
組む
刻みを終えた材料です。
組む前に、台部の凸凹に「木殺し」を行います。木殺しは玄翁の曲面側で木材を叩き、一時的に繊維を圧縮することです。
圧縮すると組みやすくなり、互いの接合部が傷つくのを防ぐことができます。さらに圧縮した繊維は徐々に元に戻るので、組んだあとの密着度が上がります。
木殺しをして、台を脚にはめ込みます。
ちゃんと入るか…
最後は玄翁でトン!
直接叩いていますが、本当は傷がつかないように「当て木」をして叩くのが正解です。
ガッチリはまりました。これでいいんかな?
先生に確認してもらいます。
加工精度の確認と仕上げ
木材同士が正しく組まれているか、確認するポイントは「直角」「高さ」「はまり具合」です。
加工精度の確認方法
まず、台と脚が直角になっているか、サシガネで確認します。直角でない場合は刻み部分のどこかが当たって、邪魔をしているのかもしれません。
当たっている場所を少しずつ削り、台と脚が直角になるように微調整します。
次に左右の高さが揃っているか確認。脚の下から台上の高さを測ります。
寸法通りに刻みを作り正しく組めば、左右とも同じ高さになるはずです。
そしていちばん重要なポイントは、脚と台の接合部分が強く合わさっていること です。はまり具合は、玄能で叩き入れてようやく入る固さでないといけません。
仕上げ
直角と高さ、はまり具合も合格点をもらったので、最後の仕上げをします。
台部の下側と脚部の上側の角を、1寸切り落とします。
全体の角を鉋で面取り。接触して角が欠けたり、ささくれが生じるのを防止するための加工です。
完成しました。パチパチパチ~
作業台「馬」の制作を終えて
今回、馬の制作を通して学んだことは、たくさんありました。
- 墨打ち … 墨つぼを使って長い直線を引く方法
- 縦割り … 木材の繊維方向に沿って切る方法
- 渡り顎…(わたりあご)木材を直交させてはめ込む
初めての墨打ちは手が真っ黒になりましたが、何度も練習をするにつれ、何となくコツが分かったような気がします。
3.5寸もの太い角材を縦割りするのは大変でしたが、鋸を立てると楽に切れることを体感。真っ直ぐ切る練習にもなりました。
そして「渡りあご」という接合方法を学びました。
釘や金具を使わずに木材を接合するには、刻みの精度が高くないといけません。なのでノミの使い方がとても重要になります。
平面は正しく。
角はきっちりと。
一気に仕上げようとせず、ていねいに少しずつ。
先生のノミの使い方をじっくり観察していても、いざ自分でしようとすると「あれ?」となるのは毎回のこと。
今回も細かい刻みの部分に、だいぶん手こずりました。ノミの使い方については、練習あるのみです。
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