初心者が本格的な大工技術を教えてくれる 木工倶楽部 に入会。学んだ事の復習や自習した事などを書き綴っています。
2回めの教習はノミの研ぎでした。今回は、前の記事で書けなかった砥石の話。そして、面直しについて自習した事を書きます。
教習で使う砥石
砥石は「天然砥石」と「人造砥石」に大別されます。天然砥石は地層から採掘した石材の形を整えたもので、希少価値があり高価。一方、人造砥石は人工の砥粒を焼き固めて作られます。教習で使う砥石はもちろん人造砥石で、荒砥・中砥・仕上げ砥石 の3つです。
粒の細かさによって、荒砥・中砥・仕上砥石にわかれ、研ぎの工程に合わせて使い分けます。
- 荒砥 … 刃が欠けた時に使用 #80~#400
- 中砥 … 切れ味が悪くなった時に使用 #600~#2000
- 仕上げ砥石 … 中砥で研いだ刃を仕上げるのに使用 #3000~#6000以上
粒の細かさは番手「#」で表記され、数字が大きいほど砥石の粒度が細かくなります。
吸水させる理由
砥石は事前に水につけ、たっぷり吸水させてから使用します。吸水させる理由は、研ぐ時に砥石の表面に水が残っていないとダメだからです。
吸水させずに使うと、いくら水をかけてもスグに砥石が水を吸い取ってしまい、表面に水が残りません。
砥石の表面に水が必要な理由は以下になります。
- すべりを良くして研磨性を高める
- 刃と砥石の摩擦によって生じる熱を抑える
研ぎに、水はかかせないんですね。そういうわけで、砥石は事前にたっぷり水を吸水させておきましょう。
吸水時間は10分から20分ほど。目安は「砥石から気泡が出なくなるまで」です。
水を吸う砥石・吸わない砥石
基本的に吸水させるのは荒砥と中砥だけ。仕上砥石は水に浸しません。
理由は、キング仕上砥石 S-1 #6000 は水を吸収しない「不吸水性砥石」だからです。
不吸水性砥石は、水をかけると表面に水が残ってくれます。だから吸水させる必要が無いんです。不吸水性砥石と、そうではない砥石の見分け方は簡単。乾いた状態の時に水をかけてみましょう。
吸水が必要な砥石は、水をかけた瞬間からグイグイ水を吸ってスグに表面が乾きます。いっぽう、不吸水性砥石は水が留まります。これで簡単に見分けられますね。
砥石の面直し
砥石の表面は平らであることが重要です。そこで、刃を研ぐ前には必ず面直しをします。面直し(つらなおし・めんなおし)とは、砥石の表面を平らに修正することです。
面直しをする理由
研ぎは、砥石の表面全体を均一に使う事が理想です。しかし実際は、よく使う部分とそうでない部分がどうしても出てきます。刃をよくあてる部分は凹み、あてない部分はあまり減らないので、刃を研ぐたびに砥石の表面は凸凹になっていきます。
表面が凸凹の砥石では刃をきれいに研ぐことは出来ません。そこで、刃を研ぐ前には必ず砥石の表面を平らに修正する面直しをします。
面直しの方法
面直しの方法は簡単。荒砥・中砥・仕上げ砥石、それぞれの面直しの方法は以下です。
- 荒砥 … コンクリートブロックにこすりつける
- 中砥 … 荒砥をこすりつける
- 仕上げ砥石 … 中砥をこすりつける
平らにしたい面に、同じくらいの粒度の砥石をこすり合わせるだけです。気をつけるのは水で濡らすのを忘れないこと。直す方もこすり合わす方も、必ず水で濡らしてから面直しをします。
まず、荒砥の面直しには表面が真っ平らなコンクリートブロックを使います。
コンクリートブロックを平らな場所に置き、荒砥を上下にこすりつけて面直しをします。ブロックなんか無い!という方は面直し用の砥石↓も販売されてますので参考にどうぞ。
そして、中砥の面直しには荒砥を使います。
水で濡らして固く絞った雑巾の上に中砥をおきます。そして荒砥を上下にこすりつけて面直し。同じように、仕上げ砥石の面直しは、中砥をこすりつけて面直しをします。
と、ここまでが教習で習ったこと。次は教習では習わなかった、ダイヤモンド砥石をつかった面直しの方法をご紹介。
ダイヤモンド砥石
上のやり方の他に、ダイヤモンド砥石を使う方法もあります。ダイヤモンド砥石とは、アルミ盤にダイヤモンド粒子を付着させたもの。
ダイヤモンド砥石は強い研削力と平面保持力に優れているので、簡単に面直しが出来ます。
僕が使っているのは、電着タイプの両面ダイヤモンド砥石。荒砥用の#400と中研用の#1000が電着されてるタイプ。
中砥と仕上げ砥石どちらも、ダイヤモンド砥石の#1000側で面直しをします。
ダイヤモンド砥石を使った面直し
面直しの方法は簡単。砥石台または、かたく絞った雑巾の上に砥石をのせます。砥石は必ず水で濡らして下さい。
水で濡らした砥石の表面全体に鉛筆で線を入れます。
ダイヤモンド砥石の#1000をあて、前後に素早くこすりつけます。ザラザラして痛いので、滑り止め付の軍手をしてもいいかもしれません。
こすっていくと高い部分が削られ、凹んだ所に鉛筆線が残ります。
鉛筆線が無くなるまでこすれば、面直し完了です。平らになっているかを確認するには、ステンレスの定規を砥石の表面に垂直に当てます。定規と砥石の間に隙間がなければOK。
最後に
砥石は表面を平らにすることが最も重要!表面が凸凹の砥石では刃をきれいに研ぐことは出来ません。必ず面直しをして平らにした砥石で刃を研ぎましょう。
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