ルーレットの旅#8 山形編
47都道府県を旅をする『ルーレットの旅』。今回は山形県です。
「山形県といえば… さくらんぼ?」否!山形県には素晴らしい観光スポットが盛りだくさん。さくらんぼしか思いつかなかったことを土下座して謝りたいたい!そんな旅になりました。
山形の地図
あらためて見ると、山形県ってモアイ像みたいな形ですね。
「最上エリア」「庄内エリア」「村山エリア」「置賜エリア」4つの地域に大きく区分される山形県。各地域を隔ているのが険しい山々です。そのため昔は文化交流があまり行われず、地域ごとに異なる方言や文化、郷土料理がうまれたそう。
今回の旅で行ったのは山形市・米沢市・尾花沢市・最上郡です。
旅のしおり
山形県2泊3日の旅のスケジュール表。
実際に行った時間と場所を記した「リアルな旅のしおり」です。
行ったところ
芭蕉の句で有名な山寺や最上川、ノスタルジックな気分にひたれる温泉街など、豊かな自然と風情をたっぷり味わえるスポットを巡ります。
神聖な異界『立石寺』
「山寺」の愛称で親しまれている立石寺の創建は貞観2年(860年)。清和天皇の勅命で円仁(慈覚大師)が開山したとされています。
登山口から大仏殿のある奥の院まで続く石段は1015段。1段ふみしめていくごとに煩悩が1つ消えるそう。その石段を登りながら注目してほしいのが「凝灰岩」です。
山内には至る所に凝灰岩の岩壁や奇岩が露出し、独特な景色をつくっています。
美しくも恐ろしくもあるその景観はまさに異界。畏怖の念を感じさせます。かつては崖に蜂の巣のように空いた穴の中で僧たちが修業したそうです。
独特で神秘的な景観を眺めながら石段を登ると、確かに煩悩が2つか3つ消える気がします。
奇岩の次はこっちの岩。「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」 松尾芭蕉が詠んだ句はあまりにも有名。
立石寺に訪れた時、芭蕉は45歳。老人のイメージしかなかったのですが、けっこう若かったんですね。
芭蕉も句にした神聖な異界、立石寺。神秘的な雰囲気が漂う霊山で「閑さや… 」をぜひ体感して下さい。
山寺名物「力こんにゃく」もおすすめ。登山前に食べて力をつけるも良し、下山してから食べてほっとするも良し。山形県産の醤油で煮こまれたこんにゃくは、しっかりと弾力ある食感で食べごたえ十分!
名称 | 立石寺(りっしゃくじ) |
住所 | 山形市山寺4456−1 |
営業時間 | 8:00~16:00 |
定休日 | 無休 |
公式HP | https://www.rissyakuji.jp/ |
左官技術の粋『文翔館』
映画のロケ地としても有名な文翔館。
大正時代初期に建てられたこの洋館は「英国近世復興様式」を基調にしているそうです。
難しい言葉ですが簡単に言うと、西洋の過去の建築様式を用いて設計した建築のこと。いつの時代も、昔の建築物に魅了されるんですね。
豪奢な館内は見どころがたくさんですが特に見てほしいのが、山形の左官職人の手仕事「漆喰彫刻」です。漆喰彫刻とは漆喰を塗り重ね、立体的に装飾したもの。
美しすぎるその装飾は何時間でも眺めていたいほど素晴らしい!紅花やサクランボなど山形の名産品も密かに彫刻されています。
紅花は江戸時代に最上川流域で一大産地となり、現在は山形県の県花になっています。
文翔館に行ったら、素晴らしい漆喰装飾のどこかに彫刻されてる、紅花やサクランボをぜひ探してみて下さい。
名称 | 文翔館(ぶんしょうかん) |
住所 | 山形市旅篭町3丁目4−51 |
営業時間 | 9:00~16:30 |
定休日 | 月曜日 |
公式HP | http://www.gakushubunka.jp/bunsyokan/ |
幸せな気持ちになれる『紙月書房』
「ルーレットの旅」では素敵な本屋を訪ねることも楽しみのひとつ。『紙月書房』さんは店内の本を読みながら、軽食も楽しめるブックカフェです。
お店の話を伺おうとご主人の声をかけると、とても親切に対応してくださいました。店名の紙月はジャズの名曲“Peper Moon”からだそうで、なるほど店内では素敵なジャズが流れています。
ご主人の人柄があらわれた、雰囲気の良い店内でジャズを聴きながら本を読む。とても幸せな時間を過ごせました。
店内の古本は一部の閲覧用を除きほとんどが販売されています。僕も懐かしい本や小説など、数冊を購入しました。
その中の一冊「くまの子ウーフ」を少し紹介。国語の教科書にのってたな… 懐かしく思い何気なく購入したのですが、改めて読んでみるとその内容の濃さに驚愕しました。
「くまの子ウーフ」は、1969年出版された児童文学です。しかしその内容は実に深く、様々な哲学的問いを読者に投げかけてきます。
自分は何者か・他者とは・命の価値は平等か。読んでいてハッとさせられる内容が盛りだくさん。そして、ウーフが自分なりの答えをみつける様子が実に愛らしく、心にジーンと響く物語になっています。
素晴らしい本「くまの子ウーフ」に再会させてくれた『紙月書房』さんに感謝です。お店は文翔館のすぐ近く。ぜひ文翔館の帰りに訪ねて、ほっと一息して下さい。
名称 | 紙月書房(かみつきしょぼう) |
住所 | 山形市六日町7-53 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
定休日 | 火曜日、第2・4水曜日 |
公式HP | http://www.kamitsuki.jp/ |
日本最古『石造明神鳥居』
石造明神鳥居は973-976年建立とされる日本最古の鳥居のひとつです。古くから「元木の石鳥居」の名で呼ばれています。
国の重要文化財に指定されている鳥居ですが、建っている場所が面白いんです。ひっそりとした住宅街を歩いていると、突如としてコレが現れるのでビックリします。
鳥居の背景に見える山は瀧山(りゅうざん)。かつて瀧山が山岳信仰と仏教の一大拠点だった平安時代に、この石鳥居も建立されたそう。元木の石鳥居は瀧山信仰の繁栄ぶりを示すものなんですね。
石材は山寺で見たあの独特な凝灰岩。石肌の独特さもさることながら、柱の太さや横幅に比べ高さが低い、どこかアンバランスな形も独特。眺めていると何か特別な力を感じます。
名称 | 石造明神鳥居(元木の石鳥居) |
住所 | 山形市鳥居ケ丘9−30 |
雄大な自然を味わう『最上川 舟下り』
美しくそびえる鳥海山を眺めながら最上郡をめざしてドライブ♪ 目的は舟下りです。
「最上川芭蕉ライン舟下り」は、古口港から草薙港まで約12km、雄大な景色眺めながら1時間の舟下りを楽しむことができます。
船上から見える落差120mの白糸の滝。松尾芭蕉も眺めた滝で、奥の細道では「白糸の滝は青葉の隙々に落ちて、仙人堂、岸に臨みて立つ。水みなぎつて舟危し」と記しています。
舟下りは基本のんびり穏やかにと舟が進みます。が、流れが急に激しくなって芭蕉いわく「舟危し」感を味わえる場所もあり、けっこうスリリングでもあります。
松尾芭蕉の名句「五月雨を集めて早し最上川」も有名ですよね。
船頭さんの舟唄と軽妙なトークを聞きながらゆっくりと下る舟下りは、とても楽しいですよ。
名称 | 最上川 舟下り |
住所 | 山形県最上郡戸沢村大字古口86-1 |
営業時間 | 4月~11月 8:30~17:00 12月~3月 9:00~16:30 |
定休日 | 無休 |
公式HP | http://www.blf.co.jp/ |
大正時代へ『銀山温泉』
銀山温泉は尾花沢市にある温泉街。大正末期から昭和初期に建てられたレトロな旅館が軒を連ねます。
僕は昼過ぎに訪れましたが、日没頃になるとガス灯がともり昼間とはまた違った雰囲気を味わうことができるみたいです。
大正ロマンを感じる銀山温泉は魅力的ですが、注意点としては人によっては「少し物足りない」と感じるかもしれません。
銀山温泉は尾花沢市の中心地から離れた山間部にあるので、アクセスに時間がかかる事が少しネックです。
「大正ロマンの雰囲気」以外の見どころはあまりないので(個人的な意見です)無理してまでは、スケジュールに入れなくても良いかもしれません。
しかし大正ロマン大好き!な方なら、絶対に行くべき観光スポットです。
名称 | 銀山温泉(ぎんざんおんせん) |
住所 | 山形県尾花沢市銀山新畑 |
公式HP | http://www.ginzanonsen.jp/ |
散歩だけでも楽しい『松が岬公園』
松が岬公園(米沢城址)園内にある「上杉神社」は、軍神そして敵に塩を送る義将としても称えられた、上杉謙信を祀る神社です。
明治9年に建立されましたが、大正8年(1919年)に発生した米沢大火により全焼。その後、大正12年に再建され現在に至ります。
松が岬公園の敷地内には「上杉神社」の他、上杉鷹山を祭る摂社「松岬神社」、そして上杉家の遺品を1,000点以上の重要文化財を展示する「上杉神社稽照殿」などがあります。
上杉景勝、直江兼続主従の像、その向かい側には伊達政宗の生誕の地を示す石碑もあり戦国武将ファンなら1日中楽しめる観光スポットです。
松が岬公園の敷地内は広くてとてもきれいに整備されているので、戦国武将に興味がなくとも散歩するだけでも気持ちが良いですよ。
名称 | 上杉神社 |
住所 | 山形県米沢市丸の内1丁目4−13 |
営業時間 | 6:00~17:00 |
定休日 | 無休 |
公式HP | https://yamagatakanko.com/attractions/detail_1390.html |
伝国の杜『米沢市上杉博物館』
上杉家ゆかりの貴重な品々を所蔵する博物館です。
米沢市上杉博物館のいちばんの見どころは、何と言っても国宝『洛中洛外図屏風(上杉本)』
作者は狩野永徳(1543〜1590)。織田信長から上杉謙信に天正2年(1574年)に贈られたものです。
国宝「上杉本洛中洛外図屏風」原本展示は春と秋の2回。普段は複製を展示しています。
詳しい日程は 展示会スケジュール を確認して下さい。
洛中洛外図屏風に描かれているのは京都の市街(洛中)と郊外(洛外)の四季折々の行事、名所や生活風俗。これらが何と2,485人もの人と共に描かれています。
洛中洛外図屏風は写真撮影禁止です。雰囲気はこんな感じ↓
屏風をじっと眺めていると人々の声が聞こえような錯覚を覚えるほど、当時の様子が生き生きと描かれています。ぜひ時間の許す限り、じっくり鑑賞していただきたい!
ひょうたんを叩いている二人組を発見。調べてみると「鉢叩き(はちたたき)」といって、念仏を唱え喜捨をもらう人たちでした。
このように「この人は何しているんだろう」「この名所はどこだろう」などと考えながら鑑賞すると、あっという間に時間が過ぎます。
博物館の展示室は「常設展示室」と「企画展示室」に分かれています。常設展示室では上杉の歴史と文化を学ぶことができます。
上杉鷹山の名言「なせば成る …」はよく知られていますが、その言葉の続きや何をした人かと聞かれると、答えにつまりませんか?
そんな僕のような人には「上杉鷹山シアター」がおすすめ。両側面にも映像が投影される大きなマルチスクリーンで、上杉鷹山の功績を学べます。
名称 | 伝国の杜(でんこくのもり)米沢市上杉博物館 |
住所 | 山形県米沢市丸の内1丁目2−1 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 5月~11月 第4水曜日 12月~3月 月曜日 |
公式HP | https://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/top.htm |
食べたもの
米沢牛をはじめ、美味しい山形グルメを堪能しました。
パンの種類が豊富『プリンセス』
地元で長く愛されている老舗のパン屋さん。カフェスペースでゆっくりと、美味しいパンとコーヒーをいただきました。
店内はどれもこれも美味しそうなパンばかりで種類も豊富。選ぶのに迷ったら「エンゼルクリーム」をおすすめします。
デニッシュ生地の中に、たーっぷりのカスタードクリーム。手に持つとずっしりと重みを感じます。サクサク生地もクリームもお値段も全てがパーフェクトな美味しさ。絶対に食べてほしい一品です。
僕が行った時は文翔館の近くにありましたが、現在は霞城公園の西側に移転されたようです。
名称 | プリンセス |
住所 | 山形市城西町2丁目8−8−18 |
営業時間 | 9:00~19:00 |
定休日 | 日曜日 |
食べログ | https://tabelog.com/yamagata/A0601/A060101/6009445/ |
店員さんが温かい『味の店 スズラン』
「昔からある老舗の居酒屋さん」そう聞くと小さな店を想像しますが、実は席数が300席もある大きなお店でした。
日本海直送の天然魚や山形の新鮮な素材を使った豊富なメニューが魅力のお店。「日本海握り寿司」山形の郷土料理「いも煮」人気の「魚ギョウザ」など、注文した全てが美味しくて大満足!
そして感動したのが店の雰囲気の良さ。店員さんの細やかな気遣いが素晴らしく、とても心地よい時間が過ごせました。
JR山形駅より徒歩5分で行きやすい・味は最高・雰囲気も良し『味の店 スズラン』は絶対に行ってほしい名店です。
名称 | 味の店 スズラン |
住所 | 山形市香澄町2丁目10−5 |
営業時間 | 17:00~23:00 |
定休日 | 不定休 |
食べログ | https://tabelog.com/yamagata/A0601/A060101/6000329/ |
うなる美味しさ『シャルマン』
昭和47年(1972年)創業。山形市で人気のパン屋さん。天然素材にこだわり、マーガリンは一切使っていないそうです。
老舗のパン屋さんですが店の雰囲気は今どき。次々とやってくるお客さんにテキパキと対応する店員さんの仕事ぶりは見ていて清々しいです。
購入した中で特におすすめしたいのが、「フレンチトースト」と「グラハムロール」。
さくふわのフレンチトーストは今まで食べた、どの店のものより美味しくておもわずうなりました。イギリスパン自体がとびきり美味しいんです。
ピーナッツクリーム&カスタードクリームをサンドしたグラハムロールは、宇宙レベルの美味しさ。『シャルマン』に行くならこの2つは絶対に食べてほしいです。
名称 | シャルマン |
住所 | 山形市南原町2丁目7−28 |
営業時間 | 7:30~19:00 |
定休日 | 日曜日 |
公式HP | http://www.pipi.org/charmant/ |
接客も米沢牛も最高『焼肉みよし』
米沢駅から徒歩2分の焼肉屋さん。1981年から続く家族経営のお店で、店内は地元のお客さんで賑わっていました。
目当てはもちろん米沢牛!こちらのお店のこだわりは『鉄鍋焼き』。ジンギスカン鍋のような鉄鍋で肉を焼くんです。
鉄鍋の周りにキャベツをぐるりとおくのがポイント。ドーム状になっているので、焼いた肉の脂が下のキャベツにしみ込み、想像を絶する美味しさに!
もちろん「米沢牛」上カルビ・ハラミは文句なしの特上の美味しさ。豚ホルモンをにんにくみそで煮込む「みそミックス」など、全てが大満足の美味しさでした。
店員さんの接客も温かくて居心地最高、味も最高。米沢牛を食べるなら、『焼肉みよし』さんをおすすめします。
名称 | 焼肉みよし |
住所 | 山形県米沢市駅前3丁目2−23 |
営業時間 | 17:00~21:30 |
定休日 | 日曜日 |
公式HP | http://www5.omn.ne.jp/~miyoshi/ |
地元で長年愛される『ベーカリー中村屋』
昭和48年(1973年)創業。地元で人気のパン屋さんです。先ほど紹介した松が岬公園(米沢城址)から近い場所にあります。
というわけで、「くるみパン」「ナンピザ」「ツナマヨ」「カレーパン」を購入し、松が岬公園の高台にある広場でいただきました。
袋から出してすぐに食べてしまったので、写真がなくてすみませんが… おすすめはカレーパン。普通のカレーパンとぜんぜん見た目が違います。
春巻きのような皮にカレーを包み半分に折って揚げたもので、長方形なんです。外がカッリカリ、中のカレーはとろとろで美味しかった!ふつうのカレーパンに飽きた方におすすめです。
名称 | ベーカリー中村屋 |
住所 | 山形県米沢市中央3丁目2−5 |
営業時間 | 7:30~19:00 |
定休日 | 月曜日 |
公式HP | https://www.b-nakamuraya.co.jp/ |
パニックなる美味しさ『そば処弥平』
昭和49年(1974年)創業の老舗そば屋。厳選した国内産の原料を自家製粉し、挽きたて・打ち立ての手打ちそばを味わえるお店です。
板そばは、そばの実を丸ごと挽いた「挽きぐるみ」。太くてコシと風味がある麺に、しっかり味のツユがよく合います。
板そばも美味しかったのですが、こちらで絶対に食べてほしいのが『鳥中華』です。
鳥中華とは、蕎麦出汁で中華麺いただく和風の中華そば。もともとはお店のまかない食だったようですが、現在は山形のご当地グルメとして有名なんだそうです。
で、そのお味ですが想像を遥かに超える美味しさに度肝を抜かれました!一口目は「ん?!」ってなります。なぜなら、蕎麦の出汁なのに、麺が蕎麦じゃなくてラーメンだから。
一瞬、脳がパニックになります。しかし、蕎麦つゆにもっちもちの太ちぢれ麺が絡んで最高の美味しさだと気づくと、もう箸が止まりません。プリプリの鶏肉も絶品です。
山形へお越しの際は『鳥中華』を必ず食べて下さい。さもないと一生後悔します!
名称 | そば処弥平(やへい) |
住所 | 山形県米沢市中央1丁目2−47 |
営業時間 | 11:00~19:00 |
定休日 | 木曜日 |
公式HP | https://yaheisoba.hp.gogo.jp/pc/index.html |
旅を終えて
山形県といえばサクランボしか思いつかなかった僕が、旅を終えて感じたことは「山形ってこんなに魅力たっぷりの県だったのか!」です。
豊かな自然に歴史、そしてさすが「食の王国」と呼ばれるだけあって、何を食べてもハズレ無し。自然と歴史ロマン、美味しいグルメを堪能した大満足の旅でした。