はじめちょろちょろなかぱっぱ… どこか懐かしく、心地の良いフレーズ。僕はこの言葉をなんだか気に入っておりまして、ブログの名前にも使っています。
さて、「はじめちょろちょろなかぱっぱ」ここまでは良く聞くと思いますが、この続きはご存知でしょうか?
『ちょろちょろ』や『ぱっぱ』の意味、そして地域によって違うバリエーションも調べたので、ご紹介します。
使われていた時代背景
「はじめちょろちょろなかぱっぱ」この言葉を理解するためには、まず時代背景を知る必要があります。
この言葉が使われていたのは江戸時代。もちろん当時は炊飯器やガスコンロなどありません。かまどに薪などをくべて火を起こし、鉄製の釜(かま)で米を炊いていました。
「はじめちょろちょろ」はそんな時代に、米を美味しく炊くためのレシピとして使われていました。つまり、
米を炊く火加減と手順をあらわしたもの。
「はじめちょろちょろ」は、米を上手く炊くための火加減や手順を、覚えやすく歌にしたものだったんですね。
全文と意味
はじめちょろちょろ中ぱっぱ…の全文はこちら
はじめちょろちょろ中ぱっぱ、じゅうじゅう吹いたら火をひいて、ひと握りのワラ燃やし、赤子泣いてもふた取るな
それでは意味について解説します。
はじめちょろちょろ
「はじめは弱火で」という意味です。
中ぱっぱ
中頃は火の粉が飛び散るくらいの火力で」という意味で、一気に強火にして沸騰させます。
じゅうじゅう吹いたら火をひいて
沸騰が続き吹きこぼれてきたら、吹きこぼれない程度に火を弱めます。
ひと握りのワラ燃やし
追い焚きをすることです。釜内の余分な水分を加熱して飛ばします。
赤子泣いてもふた取るな
火を止めて蒸らします。どんなことがあってもふたはとったらダメですよという意味です。
バリエーション
この「はじめちょろちょろ…」の言葉は、地域によっていろいろなバリエーションが存在します。
はじめちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いてもふた取るな
簡単バージョンですね。覚えやすい!
はじめちょろちょろ、中ぱっぱ、ブツブツいうころ火を引いて、ひと握りのワラ燃やし、赤子泣くともふた取るな
「じゅうじゅう吹いたら」というところが「ブツブツいうころ」に変わっています。こちらのほうが江戸時代っぽい気がします。
はじめちょろちょろ中ぱっぱ、じゅうじゅう吹いたら火をひいて、赤子泣いてもふた取るな、そこへばば様とんできて、わらしべ一束くべまして、それで蒸らして出来あがり
ばば様がとんできました!ワラを足して火を強めることがいかに重要か、よく伝わります。
以上、3つ紹介しましたが他にもいろいろなバリエーションがありますので、調べてみても面白いと思います。
釜と土鍋の違い
土鍋で炊く方法
- 浸水
お米を水に浸ししっかりと芯まで吸水させる - 沸騰するまで強火
だいたい10分ほどで沸騰します - 沸騰したら弱火
15分炊きます。弱火にしても中は高温に保たれます - 強火で5秒
水気を飛ばし土鍋内をさらに高温にする - 蒸らす
火を止め10分ほど蒸らす。蒸らすことで芯までふっくら炊き上がります
違い
「はじめちょろちょろ…」では最初は弱火にかけると言っていますが、土鍋では弱火にかけることはしません。その理由は「釜」と「土鍋」の違いにあります。
昔の炊飯道具「釜」は鉄製です。そのため温度があがりやすくムラもできやすいので、弱火でじっくり沸騰させることが大事でした。
しかし「土鍋」は土でできているため熱を溜め込む性質があり、熱がゆっくり伝わるため強火にかけても緩やかに温度上昇するのです。
急激な温度上昇がダメな理由
- 短時間に温度が上がると水が内部まで浸透しにくくなり米の芯が残りやすい
- 米の美味しさの秘訣「甘み」が作られるのが40℃~50℃くらい。この温度帯の時間が短いと甘みがでません
最後に
「はじめちょろちょろ…」の言葉の続きや意味についてまとめました。
ボタン1つで美味しいお米が炊ける時代。しかし、蒸気の様子や音に注意しながらじっくり炊くご飯は、格別に美味しそう。釜で炊いたご飯、いちど食べてみたいものです。