教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める

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木工初心者が、本格的な大工技術を教えてくれる木工倶楽部に入会。教習内容を備忘録として書き綴っています。

鑿(ノミ)や鉋(カンナ)に興味がある方、よろしかったら参考にして下さい。

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2020年12月6日・12回目の教習

前回は 教習⑪ 墨打ちと鉋がけの基本 でした。

今日も角材を鉋がけします。しかし鉋をかけながら、ふと疑問に思いました。

角材は「末から元」に向かって鉋をかける。そう教わったが、なぜなのか?

そこで、自分で調べてみることにしました。今回は「鉋をかける方向」について、自習した事を書きつづります。


鉋をかける方向(基本)

鉋をかける方向は、基本的に以下のような方向になります。

  • 順目方向
  • 木表は末から元へ
  • 木裏は元から末へ

図で表すとこのようになります。木表は末から元へ、順目方向に鉋をかけます。

kiomote kannagake - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める

なぜこの方向なのか?まずは「順目と逆目」「木表と木裏」「元と末」の話から。

そして、それらと鉋がけの方向の関係について解説していきます。すこし長くなりますが、おつき合い下さい。

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とことん 詳しく解説します!

知っておくべき木工用語

「順目と逆目」「木表と木裏」「元と末」この3つを知っておくと、鉋をかける方向について理解しやすいです。

順目と逆目

木材には順目(じゅんめ・ならいめ)と、逆目(さかめ)とよばれる方向があります。鉋は順目方向に引くのが基本です。

順目はきれいに削れる方向で、逆目は削れにくい方向だからです。

なぜ逆目はきれいに削れないのでしょうか?

下の図は、順目方向へ進む刃と、逆目方向へ進む刃を表したものです。

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逆目は刃が木目に食い込む方向になっています。 表面がむしり取られたように荒れてしまうので、きれいには削るのが難しい方向です。

いっぽう順目は木目をなでつけるような方向です。順目方向は木目に食い込まないので、きれいに削れます。

まとめ
  • 順目(じゅんめ・ならいめ)に鉋をかけるのが基本
  • 順目は木目をなでつける方向
  • 逆目は木目に食い込む方向

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木材には順目と逆目がある。
次は木表と木裏についてです。

木表と木裏

板材には、表と裏があります。表と裏を見分けるいちばん簡単な方法は、木口を見ること。木口とは年輪のカーブが見える部分です。

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木口に見える年輪のカーブが山になっている方が木表で、その反対の面が木裏です。

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木表は樹皮に近い方の面なので「きおもて」と呼びます。そしてその反対面である木裏「きうら」は木材の中心(樹心)に近い側の面になります。

まとめ
  • 木表(きおもて)… 樹皮に近い側。年輪のカーブが山になっている方。
  • 木裏(きうら)… 樹心に近い側。木表の裏側の面

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板材には表と裏がある。
次は元と末についてです。

元と末

木材としてよく利用される針葉樹は、空に向かってまっすぐに伸びるのが特徴。そして先端が先細りな円錐形に成長します。

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樹木が製材され木材になったとき、木の根に近かった方を「元」、空に向かって伸びていた方を「末」とよびます。

moto sue model - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める

元と末の見分け方の1つは、表面の木目をみること。タケノコのような模様 の先っぽの方が末。その反対側が元になります。

まとめ
  • 木の根に近い方が元(もと)・タケノコ模様の下側
  • 空に向かって伸びていた方は末(すえ)・タケノコ模様の先っぽ側

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タケノコの向きで末と元が分かる。

なぜ木目がこのようなタケノコ模様になるのでしょう? 次はそのお話です。

木の成長の仕方

先ほど話したように、針葉樹は先端が先細りな円錐形に成長します。円錐形に成長するというのが重要なポイントになります。

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木の幹の成長過程を簡単にあらわしたのが上の図です。小さい円錐が徐々に大きくなっていますね。

伸長成長と肥大成長

木は2種類の成長によって大きくなります。1つは伸長成長で、先端から上方に伸びる成長。

そしてもう1つが肥大成長。木は木部と樹皮の境で細胞分裂が起こり、内側から外へ外へと太っていきます。

2 growth of trees - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める

小さい円錐に少し大きい円錐をかぶせるように、上方と外側へ成長する樹木。成長の証は年に1本ずつ出来る年輪(上図のグレー線)で見ることができます。

元と末の見分け方の1つは、表面のタケノコのような模様をみることでした。なぜ木目にタケノコ模様があらわれるのか?この成長の仕方に関係があるようです。

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円錐を積み重ねるように成長するんですね。

木目が鉋がけの方向を決める

樹木は小さい円錐に少し大きい円錐をかぶせるようにように成長します。すると幹の中では年輪が円錐形に重なっていきます。

2 wood model - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める

そのため成長した幹を真っ二つに切断するとタケノコ模様があらわれ、そこから切り出した板材にも木目が模様となってあらわれます。

板の側面は斜めに木目が入っています。これは樹木が円錐形に成長することに依ります。
※分かりやすいように木目はかなりオーバーに表現しています。

じつは、どの角度で切断するかで模様は違ってくるのですが、今回は分かりやすいように板目の場合で話をすすめています。

参考板目と柾目

柾目板はコスト高なので、一般的に出回っている木材は板目が多いです。

では話をもどして、木目の入り方と鉋をかける方向の関係について見ていきましょう。丸太から板目の材を取り出すとします。

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ここまで読んでくれた方は、下の板材の表面は「木表」で、タケノコ模様の先っぽの方が「末」だと分かりますよね。そこで次は木端に注目です。

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木端(こば)とは、板材において木口(横断面)ではない長手方向の側面を指します。そしてこの木端の図に見覚えがありませんか?

さきほど、この部分を見ると樹木が円錐形に成長する様子がよく分かると話した部分。そして最初に出てきた、順目と逆目の図でもあります。

naraime sakme model - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める

逆目は木目に食い込む方向なので順目方向に鉋がけするのが基本だという話を先にしました。そして「木表は末から元へ鉋をかける」のも基本。なぜなのか?もう答えは分かりますね。

木端の順目=「木表の場合は末から元」だからです。

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木端の順目=「木裏の場合は元から末」だということも下図を見れば分かりますね。

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木表、木裏の鉋がけをする場合、側面の木端に入った木目を見れば順目方向が分かる。そして逆もまた然り、木表、木裏の木目をみれば木端の順目方向が分かる。

「順目と逆目」「木表と木裏」「元と末」それらは木目の向きで見分けることができました。そして鉋をかける方向を決めるのもまた、木目だという事が分かりました。


まとめ

鉋をかける方向について長々と話してきましたが、簡単にまとめます。

  • 鉋をかける方向は順目が基本
  • 順目は木目をなでつけるように進む方向、逆目は鉋の刃が食い込む方向
  • 順目は木端(長手方向の側面)の木目を見て判断する
  • 木目の向きは樹木が円錐形に成長することに依る
  • 木表は末から元へ、木裏は元から末が順目になる

末と元の方向はタケノコ模様で判断するほか、節を見る方法もあるので参考にしてみて下さい。

参考元と末の見分け方

そして冒頭での疑問 角材は「末から元」に向かって鉋をかける。そう教わったが、なぜなのか? の答えは、

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角材は4面とも「木表」なので末から元が順目になる。という事でした。

これでおしまいにしたいところですが、最後にひとつだけ。「基本はあくまで基本に過ぎない」という話をして終わりとさせていただきます。

例えば木表を鉋がけするために、順目がどちらか見るとします。「タケノコ模様の先っぽの方が末。だから順目は末から元だ」この判断は基本的には正解。

しかし実際は下の写真のように基本どおり順目に鉋がけをしても、きれいに削れなかったりします。

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この場合は「節」が原因。節の部分は硬いうえ木目の向きが変わるんです。順目方向に削っていたのに、節の部分で逆目になり木肌が荒れてしまいました。

下の写真は一見きれいに見えますが、よくみると節のまわりがザラザラになっています。

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このように基本どおりにはいかない場合もありますが、とりあえず基本は覚えておくべきですよね。

そして鉋をかける方向の確認も大事ですが、いちばん大事な事はよく削れる鉋を使うことそのために、鉋台・鉋刃の調整はとても大事です。よければ下の記事も合わせて読んでみてください。

DSC 0210 520x300 - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める 教習⑨(前編)鉋(かんな)について IMG 20201018 101614 R 520x300 - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める 教習⑨(後編)鉋の仕込み IMG 20201101 111527 520x300 - 教習⑫(前編) 鉋をかける方向は木目が決める 教習⑩(前編)鉋台の下端調整