木工初心者が、本格的な大工技術を教えてくれる木工倶楽部に入会。教習内容を備忘録として書き綴っています。
鑿(ノミ)や鉋(カンナ)に興味がある方、よろしかったら参考にして下さい。
四街道 サンデー木工倶楽部とは

2020年7月5日・2回目の教習
教習②(前編)からの続きです。
今日はノミと砥石についての話から始まりました。次はノミの研ぎです。
教習内容は ❶ノミの裏押し ❷ノミの研ぎ です。
❶ ノミの裏押し
裏押しとは、刃の「裏」を平面に研ぐことです。新品のノミの裏は完全に平らではないので、研いで平面を出す必要があります。
平面を出す意味
ノミの裏を研いで平面にすることはとても重要な事。なぜなのか?理由は、

木材を削るときの基準面(定規)にするため
ノミは基本的に、木材を平面に削る道具です。裏の平面部分が、木材を水平垂直に削るガイドになるんです。ノミの裏が平面じゃないと、木材を平面に削る事ができません。
裏透きの役割り
下の写真はノミの裏。凹んだ部分がありますね。これは裏透きとよばれている部分です。

真っ平な方が平面に研ぎやすいのでは? と思い、裏透きがある理由を先生に質問しました。答えは「裏透きがないと、たくさん削らないといけないから大変」との事。
確かに、硬い鋼を研ぐのはかなり大変そう。裏が透いてあると、そのぶん研ぐ面積が減るので良いですよね。
裏押しの仕方
ノミの裏を真っ平らにする事はとても重要だと分かったところで、さっそく裏押しをします。使うのは金盤と金剛砂です。
金盤には砥石のような研磨力はないので、金剛砂と水を合わせて研磨剤にします。金盤に金剛砂ひとつまみと水を数滴たらし、玄翁の凸側で混ぜ合わせます。

金剛砂のジャリジャリ感が少しなめらかになるまで、潰すように混ぜます。

木の棒とノミを合わせてしっかり握り、金盤にのせます。前後に往復、金盤全体を使って研ぐようにします。

木の棒を使うのは刃先に力を集中させるためですが、使わなくても良いそうです。
で、実際にやってみるとかなり難しい。ちゃんと平面になっているのかよく分からないんです。先生に確認してもらったところ、「あ~刃が丸くなっちゃったね」とご指摘を受けました。

え?刃が丸くてどこ? …ここかっ!先生の視力いくつですか?

刃が丸くなった原因は、ノミを持つ右手を浮かせてしまったから。
僕は邪魔だと思ったので木の棒を使いませんでしたが、やはり使った方が安定するみたいです。
❷ ノミの研ぎ
裏押しが終わったら、次はいよいよ刃を研ぎます。
「長年やっているが、今でも十分に納得できる研ぎができる日は少ない」と先生もおっしゃっていましたが、刃を研ぐのは本当に難しそうです。
STEP1 砥石に水を吸わせる
砥石は水を吸わせてから使用します。
吸水させずに砥石を使うと、研ぎの作業中いくら水をかけてもすぐに砥石が水を吸い取ってしまい、表面が乾いてしまうからです。

しかしキング仕上砥石 S-1 #6000 は水に浸す必要が無いそう。理由は、水を吸収しない「不吸水性砥石」だから。
砥石が水を吸わないということは、砥石の上に水が留まってくれるので水に浸さなくてもいいんですね。
なので、水につけるのは中砥と荒砥だけ。砥石から気泡が出なくなるまで、5分から10分ほど水につけておきます。
荒砥(黒い砥石)はノミの研ぎには使用しません。中砥の面直し用です。ノミを砥ぐ前に砥石は必ず面直しをしましょう。

STEP2 中砥で研ぐ
最初に中砥石(#1000)→次に仕上げ砥石(#6000)の順で研いで仕上げます。
刃を研ぐときは、必ず砥石に水をかけながら作業します。
- すべりを良くして研磨性を高める
- 砥石が摩耗して出てくる砥垢を洗い流し、目詰まりを防ぐ
- 刃と砥石の摩擦によって生じる熱を抑える

- 切れ刃を砥石に密着させる
- 仕上がり角度は28~30°
- 刃返りが出るまで研ぐ
切れ刃(傾斜の部分)が、砥石にピタッと密着する角度をキープして前後に研ぎます。この角度が不安定になると刃先が丸くなってしまいます。
刃の仕上がり角度は28から30°を意識。28度以下だと刃が欠けやすく30度以上だと切れ味が重くなるようです。
どこまで研いだらいいかの目安は「刃返り」。
研いでいる面の反対側に金属のバリ(まくれ)が出たら、研げている証拠です。薬指で裏の刃先を軽くなでて、バリがでているか確認しましょう。引っかかるような感触があればOK。

STEP3 仕上げ砥石で研ぐ
刃返りが出たら、次は仕上げ砥石で研いでいきます。中砥で研いだ刃を仕上げ砥石で磨き上げるイメージです。刃返りは最後にとるので、今はそのままにしておきます。

- 水をかけすぎない
- 最後に刃返りをとる
仕上げ砥石で研ぐときは、砥垢が流されない程度に水を加減しながら研いでいきます。
中砥で研ぐときは水を多めにかけていましたが、仕上げ砥石で研ぐときはあまり水をかけないように注意。なぜなら、砥石から出る泥(砥垢)が流されてしまうから。
この砥垢は、刃との摩擦で砥石がすり減ることで出てきます。この砥垢と一緒に研ぐことで、きめ細かい良い刃がつくそうです。
研ぎ方は中砥のときと同じ、砥石にピタッと密着する角度をキープして研ぎます。
研ぎ終わったら最後に刃返りをとります。バリが出ている側(裏)を砥石に密着させて、スーッとゆっくり滑らせるだけ。これで刃返りがとれます。

砥げたかどうか確認するには、刃を爪の上で軽くすべらせる方法があります。滑らずに引っかかる感触があれば、刃がついた証拠です。

研ぎ終わったら必ず、サビ止めの油(椿油など)を塗ります。
今日の感想
木材を水平垂直に削るために、ノミの裏を平面にすることがとても重要だと学びました。
今日は5分・8分・16分、3本のノミの「裏押し」と「研ぎ」を何とか時間内に終えましたが、ちゃんと砥げているか不安です…。
正直、どういう状態の刃が付いたら正解なのか、まだ理解できていません。実際に使ってみて分かるんでしょうね。
使っては研いで、使っては研いでをくり返し、精進したいと思います。
次の記事
